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矢野貴志(芸術監督)、~「ROCKS TOKYO」に込めた思い~

矢野貴志(芸術監督)、「ROCKS TOKYO」に込めた思い

矢野貴志は海外のロッカーを中心に様々なアーティストのプロデュースを務めた経験のある芸術監督です。

彼がプロデュースした音楽イベントの中でも、2010年から2012年の3年間で開催されていた大型音楽フェス「ROCKS TOKYO」は、今でも「また開催して欲しい」という声があがるほど人の心に残るイベントでした。

今回は、矢野貴志がROCKS TOKYOという大型イベントに込めた思いを中心に、全3回(6公演)行われたROCKS TOKYOの出演アーティストなどについて紹介したいと思います。

矢野貴志という人物について

矢野貴志は、今回ピックアップしている「ROCKS TOKYO」以外にも様々な音楽イベントに関わりのある人物です。

例えば、英国と日本で開催されている国際音楽祭の「SOMEWHERE,」では、矢野貴志がArt Directorを担当しています。

「アーティストにとっての真の芸術と音楽の魂を発見し、ユニークで斬新なライブを経験してもらう」というテーマのもとに企画されたこの音楽祭は、英国のテレグラフ(高級新聞紙)やNME紙でも高い評価を受けました。

その他にもMy bloody ValentineやTHE CHEMICAL BROTHERSの日本公演を成功に導いた実績のある人物ですが、それらの中でも「ROCKS TOKYO」は比較的初期にプロデュースを担当したイベントのひとつとなっています。

矢野貴志が「ROCKS TOKYO」に込めた思いとは?

ROCKS TOKYOはプロデューサーを矢野貴志、オーガナイザーを鹿野淳が務めた野外ロック・フェスティバル。

「東京都内で刺激的なロック・フェスを始めよう!」というストーリーのもとに組み立てられた舞台だったと、過去のインタビューにて矢野貴志が語っています。

「ROCKS TOKYO」の会場となったのは湾岸エリアの江東区・新木場にある若洲公園でした。現在はTOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL(通称:メトロック)の会場になっている場所でもあるので、知っている方も多いかもしれませんね。

3年で開催終了となってしまい、当時そのお知らせに残念な思いをした方も多かったと思います。しかし、そう感じた人が多い分、ROCKS TOKYOは大成功をおさめたイベントだったと言えます。

「ROCKS TOKYO」という名前の由来

フェスの名前である「ROCKS TOKYO」というネーミングは、スコットランドのロックバンド「PRIMAL SCREAM(プライマル・スクリーム)」の「Rocks」という楽曲が由来だとされています。

「Rocks」は彼らの4thアルバム「Give Out But Don’t Give Up」に収録されている楽曲で、全英シングルチャートで7位を獲得したPRIMAL SCREAMの代表曲としても知られています。

PRIMAL SCREAMは常に変化する音楽性が特徴のひとつでもあるバンドだったため、前作(3rdアルバム)までのファンからは賛否両論あったといいますが、「Rocks」は歌詞を見ても分かる通り「これぞロックンロール!!」と感じられるナンバーです。

ROCKS TOKYOに出演したアーティストたち

ROCKS TOKYOは3つのステージが用意されていました。

大きな風力発電機のある「WIND STAGE」、東京湾沿いに位置する「BAYSIDE STAGE」に知名度が高めのアーティストが配置されています。

3つ目の「NEXUS STAGE」は次世代を担うアーティストたちのための見せ場、という構成になっています。

2010年

WIND STAGEでは、1日目にASIAN KUNG-FU GENERATION、flumpool、KREVA、ORANGE RANGEなど幅広い音楽性のアーティストが出演。2日目は10-FEETやACIDMAN、Dragon Ash、RADWIMPSなどが出演し、より「ゴリゴリのロック」なステージになっています。

BAYSIDE STAGEでもヴィジュアル系ロックバンドとして有名なムックをはじめBIGMAMAやThe Mirrazm、the band apartなどが出演。当時はまだ結成3年だったSEKAI NO OWARIが出演していた点も注目ポイントだと言えるでしょう。

NEXUS STAGEにはピアノロックに癒し系な歌声のWEAVERや、当時はまだ[Champagne]の名義で活動していた[ALEXANDROS]が出演しています。

[Champagne]は3年間全てのROCKS TOKYOに出演していて、2010年はNEXUS STAGE、2011年はBAYSIDE STAGE、最後の2012年にWIND STAGEと全てのステージを制覇しているところも興味深いです。

2011年

2011年のROCKS TOKYOでは2日間で32組のアーティストが出演。当時結成10周年を迎えたBase Ball Bearが、自身のアニバーサリーツアー中であるにもかかわらずROCKS TOKYOにも出演するという事で話題になりました。

WIND STAGEでは、そんなBase Ball Bearをはじめ、サカナクション、SEKAI NO OWARI、Dragon Ash、マキシマム ザ ホルモン、エレファントカシマシそして10-FEETが出演。

BAYSIDE STAGEは2010年にも出演した[Champagne]、 The Mirraz、the telephonesに加え同年4月にベストアルバムを出したばかりのクラムボンやメンバー全員がオカモト姓を名乗るバンドOKAMOTO’Sなどが出演。

次世代アーティストをお披露目する場でもあるNEXUS STAGEには、girugameshや雅-MIYAVI-といったヴィジュアル系バンドも出演していました。

台風の影響で暴風雨の中開催された2日間のライブとのことで、イベントの開催自体も危ぶまれていた中行われたフェス。出演者やスタッフだけではなく観客として参加した方々の心にも強く残ったことと思います。

2012年

開催最後の年となった2012年はWIND STAGEにONE OK ROCKやACIDMAN、サカナクションが登場。初日のトリが10-FEET、2日目のトリがTHE BAWDIESというタイムテーブルでした。

1日目のBAYSIDE STAGEには星野源が出演。2日目にはスガシカオやサンボマスターなども出演していましたね。NEXUS STAGEの2日目では同年4月にメジャーデビューをしたばかりのクリープハイプがライブを行いました。

2012年、最後の開催となったROCKS TOKYOは、プロデューサーである矢野貴志と友人関係にもあるTomatoのSimon Taylorがクリエイティブディレクションを担当。その他にも「ROCKS TOKYO」の名前の由来になった楽曲を制作したバンド「PRIMAL SCREAM」がヘッドライナーとして登場し「Rocks」を演奏するなど、これまでのROCKS TOKYOとは一風変わったものを見せたいという矢野貴志らの思惑が見えます。

まとめ

矢野貴志(芸術監督)がROCKS TOKYOという大型イベントに込めた思いを中心に、全3回(6公演)行われたROCKS TOKYOの出演アーティストや当時の状況などについて振り返ってみました。

あれから10年以上経った現在だからこそなお、ROCKS TOKYOの出演アーティストたちのラインナップは「アツい」ものであったと感じます。人気になりすぎてこの規模の野外フェスでは中々見れなくなってしまったアーティストもいるでしょう。

矢野貴志たち運営側が狙った「刺激的なロック・フェス」としても大成功したイベントだったと言えるでしょう。

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