三菱ガス化学社長の倉井敏磨氏は1952年1月9日生まれで新潟県出身。当該社長の名の読みは「トシキヨ」なのですが、とても似た表記の人物がいます。その人物とは明治28年生まれで第一勧業銀行に勤務していた倉井敏麿(トシマロ)氏です。三菱ガス社長の記述において「トシマロ」氏を紹介するのには理由があるのです。実はこの「トシマロ」氏は新潟鐵工所の社長を務めているのです。新潟鐵工所は第一勧銀グループの企業で、生産拠点を新潟にもつ地元では有名な会社でした。つまり倉井敏磨三菱ガス社長の出身地である新潟の有力企業だった新潟鐵工所。その社長と似た表記の命名は偶然ではないでしょう。倉井敏磨氏の経歴は東北大学工学部卒業後、三菱ガス化学に入社し社長に就任するまで当社一筋で勤務しています。三菱ガス化学の事業内容は4つの柱を持っており、天然ガス系化学品、芳香族化学品、機能化学品、特殊機能材に分類されます。
天然ガス系カンパニーでは他社と共同で天然ガスの採鉱を行ったり、原油を石油精製会社へ販売したりしています。また環境に優しいエネルギーの開発やプラスチック、塗料、接着剤などの誘導品を製造しています。芳香族化学品カンパニーは塗料、接着材の原料や自動車部品、食品包装の原料に加え繊維や合成樹脂などの原料や添加剤などを製造しています。機能化学品カンパニーでは漂白剤や空調の水処理剤、電子工業用洗浄剤、プラスチックレンズ研磨剤の原料や耐熱性樹脂などを、特殊機能材カンパニーでは配線板や酸化を防ぐ脱酸素剤などを製造しています。倉井敏磨氏はこれらのうち機能化学品カンパニーに長く携わり、無機化学部門及び合成樹脂部門いずれの事業部長も経験しています。
当該カンパニーではスマートホン向けの保護フィルムも手掛けています。もとから三菱ガス化学という社名で存在していたわけではなく、昭和46年に三菱江戸川化学と日本瓦斯化学工業が合併して誕生した会社です。それぞれの会社は大正7年、昭和26年に起業しています。起業後はそれぞれがいくつかの合併を繰り返しながら高度経済成長期に誕生した三菱ガス化学。合併することで双方競合するおそれを乗り越えたのです。こうした歴史を刻む三菱ガス化学の社長に就任した倉井敏磨氏。前社長酒井氏が不採算事業を再構築した後を引き継いだ今、三菱ガス化学のこれからそして社会のこれからに対しどのような夢を描いているのでしょうか。